腱板断裂の原因には内因性と外因性の2つに大別されます。内因性は腱板の加齢変化や内部障害、喫煙などが主として挙げられ、外因性は肩峰下インピンジメントやインターナルインピンジメントなどが主として挙げられます。
今回の記事では、外因性の肩峰下インピンジメントに関与する肩峰と腱板断裂の関係性について記載していきます。
1.肩峰下インピンジメントとは?
肩関節には烏口肩峰アーチと呼ばれる部位が存在しており、烏口突起、烏口肩峰靭帯、肩峰から構成され、アーチの下層には上腕骨頭を包む腱板筋群が走行しています。
肩峰下インピンジメントは烏口肩峰アーチにて肩峰と上腕骨頭が衝突し、アーチ間に存在する腱板や軟部組織にストレスにさらされること言います。インピンジメントは正常な場合でも生じると報告されています。
肩峰下インピンジメントによる腱板損傷(断裂)のメカニズムは、腱板の機械的摩耗と述べられています。腱板は繰り返されるインピンジメントによって、摩擦や圧縮ストレスを受け、その結果、腱板断裂が生ると考えられます。
また別の要因として、烏口肩峰アーチの狭小化も肩峰下インピンジメントに伴う、腱板断裂に関与すると考えられています。肩峰下の骨棘、烏口肩峰靭帯の肥厚、肩鎖関節の骨棘、あるいはすべての問題により肩峰下の空間が狭くなると、95%に腱板断裂を引き起こすと述べられています。
この報告から、腱板断裂を考えるうえで、烏口肩峰アーチとインピンジメントの関係性に着目が集まり、肩峰の形態や大きさ、烏口肩峰アーチの容積などの研究が始められるきっかけとなりました。
2.肩峰の形状と烏口肩峰アーチの容積
なかでも、肩峰のTypeをtype I (flat undersurface)、type II (curved)、type III (hooked)に分類した、Biglianiらの報告は有名です。その報告の中で、Type Iではほとんど腱板断裂が生じず、type II、type IIIで腱板断裂が多く見られたと報告されています。
Biglianiらによる、肩峰のType分類と腱板断裂の関係性は一世を風靡しましたが、最近の研究では、肩峰のTypeⅢが10%にも満たないことが明らかになり、肩峰を評価する方向によっても、Typeが異なるように見えるため、肩峰の形態分類と腱板断裂には関係がないとも報告されています。
では、肩峰の骨棘と腱板断裂の関係性についてはどうでしょうか?