凍結肩は人口の2%~5%が罹患していると報告されており、女性に多い疾患です。凍結肩は50~60歳代に最も多く、ピークは50代半ばです。 凍結肩の最大17%では、5年以内にもう一方の肩にも発症する可能性があります。
凍結肩は自然回復すると考えられていますが、関節包の線維化や変性の程度によって、症状が何年も続くこともあります。Manske RCらの報告では、「痛みと可動域制限からの回復には通常1~3年かかり、最大でも20~50%の患者が持続的な痛みとROM制限に悩まされている」と報告されています。
また、Hagiwara Yらの報告では「一部の患者は、数年間の保存的治療の後でも、限られた ROM が残存し、症状が継続し、ほとんど改善が見られない」とも報告されています。
私の臨床経験においても、凍結肩が自然に改善する患者さんより、改善しない患者の方が多いと感じています。
その凍結肩患者で特に問題となるのは、疼痛を伴う自動可動域と他動可動域制限だと思います。凍結肩では可動域が著明に制限(屈曲 100°未満、1st外旋 10°未満、結滞L5未満)されており、痛みも伴うため日常生活に支障きたします。
可動域制限に関連する要因としては、関節包(靱帯)や筋肉の短縮や拘縮、神経の動きの制限、疼痛の感受性など多くの要因があります。その中で、今回の記事では「烏口上腕靱帯」に着目して、凍結肩の関節可動域を考えていきたいと思います。
烏口上腕靱帯(以下:CHL)は主に「肩関節1st外旋制限」に関与していると考えられていますが、この記事を読むことでその考え方が変わると思います!
1.CHLの解剖と機能
CHLには多くの解剖学的な特徴があります。CHLは靱帯と言っても、Ⅲ型コラーゲンが多く存在するため、とても硬い組織ではなく、他の靭帯よりも柔軟性が高い靱帯と考えられます。
一般的に靱帯には神経線維や血管は乏しいと考えられていますが、CHL周囲には血管や神経が豊富に存在していると報告されていおり、痛みや炎症を引き起こしやすい組織と考えることができます。
また、CHLの一番の特徴と言っても過言ではないくらい、
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