みなさんが考える肩の負担となる動作はなんでしょうか?
「重いものを持ち上げる仕事」「長時間、座り続けている仕事」「洗濯物や掃除」それとも「上肢を繰り返し挙上するスポーツ」でしょうか?
これらの動作は確かに、肩に負担が加わる動作になります。
では、これらの肩に負担となる仕事や動作を行うと、必ず肩に痛みが出現するのでしょうか?この考え方は「YesでもありNo」でもあります。例を挙げると、プロ野球選手で肩に痛みが出て、手術する選手もいれば、肩に痛みが無く投げ続けることができる選手もいます。
つまり、必ずしも「肩の負担となる動作=肩の痛み」とはならないということです。では、「肩に痛みが出る人と出ない人がいる違い」には何があるのでしょうか?
私が考える「肩に痛みが出る人と出ない人の違い」の1つとして、「肩の機能的な安定性を保持できているのか?」が大切だと考えています。
例を挙げると、肩関節はよくゴルフボールとティーの関係性で考えられることが多いです。上腕骨頭(ゴルフボール)が肩甲骨(ティー)の上で安定しているイメージになります。
上腕骨頭(ゴルフボール)の位置が少しでもずれると安定しません。肩甲骨(ティー)が不安定でも安定しません。そのため、肩関節の機能的な安定性を保持する場合、上腕骨頭と肩甲骨どちらの安定性も必要になります。
上腕骨頭と肩甲骨は肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節を構成する一部であるため、「肩の機能的な安定性を保持する」にはそれぞれの関節の安定性について考える必要があります。まずは「肩甲上腕関節の安定性」から考えていきたいと思います!
1.肩甲上腕関節の安定性
肩甲上腕関節の安定性に寄与する組織として、「筋肉・靱帯・関節包」などがあります。今回の記事では、筋肉に着目して考えていきたいと思います。
肩甲上腕関節の安定性を考える上で、大切になる筋肉が「腱板筋群」になります。腱板筋群は棘上筋(SSP)、棘下筋(ISP)、Tm(小円筋)、肩甲下筋(SSC)の4つの筋肉のことを言います。これら4つの筋肉が協調的に働くことで、肩関節の安定性が担保されている部分があります。
まず、棘上筋の機能として、肩関節外転や内-外旋の機能があります。その他に上腕骨頭を関節窩に対して圧縮し、肩関節の動的な安定性に寄与する役割もあると考えられています。
棘上筋は初期外転力(StartingMuscle)としての機能するため、初期外転時に上腕骨頭を関節窩に対して圧縮し、肩関節の安定性に寄与します。また、上腕骨頭の上方移動を制御する支点形成力(Depressor機能)の役割も存在します。
肩関節の運動の初期段階で棘上筋が正常に機能することで、上腕骨頭が安定します。その後、三角筋が収縮した力は上腕骨頭が上方に回転する力となり、正常な肩関節の運動を行うことができます。これを「棘上筋と三角筋のForce Couple」と言います。
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