長母趾屈筋の基礎知識 ~足関節背屈制限への関与~ 評価・介入編!

 

 

以前の記事で、足関節背屈制限と長母趾屈筋(以下:FHL)の関係性とFHLの基礎解剖や役割について記載していますので、そちらも是非ご覧ください。(画像をクリックして頂くことで、以前記事にいきます。)

 

 

今回の記事では、私が臨床で実施しているFHLの評価と介入方法についてご紹介していきたいと思います。

 

1.FHLの評価

 

FHLの問題を疑うためには、評価が大切になります。私は臨床で問診や足趾の状態、関節可動域などを重要視しています。

 

 

 

問診では、スポーツ歴(バレエやサッカー)、捻挫などの足部の外傷歴、秋レス腱障害や三角骨障害の有無などを確認します。バレエやサッカーは母趾に体重を加えることも多く、FHLの問題が生じやすい印象があります。

 

 

 

足関節捻挫では、腓骨筋が損傷することがあります。腓骨筋は外果のすぐ後方でFHLと隣接しており、腓骨筋の炎症や腫脹がFHLの問題に関与する可能性があります。捻挫を受傷したことがある場合、足部外側面に内出血の有無や既往を確認するようにしています。

 

 

 

アキレス腱障害・Kager’ s fat padの障害や三角骨障害はFHLの炎症や腫脹を引き起こす可能性があるため、必ず聴取するようにしています。

 

 

 

視診では、足趾の状態を確認します。
・足趾が過剰に屈曲していないか?
・足趾が浮き上がっていないか(浮き趾)?
過剰な屈曲や浮き趾は足関節背屈制限を代償している可能性が考えられます。そのため、FHLの短縮や柔軟性の低下を疑うべき所見と考えています。

 

 

 

触診では、FHLの圧痛の有無を確認します。FHLの外側には腓腹神経、内側には脛骨神経、表層にKager’s fat padが存在しているため、エコー下でFHLを確認しながら、圧痛を確認するとより正確になります。

 

 

 

問診や触診からFHLの問題を疑ったら、足関節背屈可動域を確認していきます。まずはOKCで背屈可動域を確認します。足関節背屈は単純な運動ではなく、外転と外返しを伴います。そのため、運動軸をしっかりと意識した可動域の評価を実施します。

 

 

 

足関節背屈可動域制限が存在する場合、足趾の影響を確認します。方法としては、母趾または足趾を伸展させた状態で足関節背屈を実施し、可動域制限が顕著に出現するかどうかを確認します。

 

  

注意すべき点は、中足骨頭をしっかりと固定することです。中足骨頭を固定しないと、FHLが緩んだ状態のままでの評価になってしまいます。また、腓腹筋の影響を取り除くために、膝関節屈曲位で評価しています。

 

  

OKCの評価でFHLの問題で足関節背屈可動域制限が生じていると考えた場合、CKCでの評価も実施していきます。

  

足関節背屈は歩行や立ち上がり、スポーツ動作などCKCで重要になるため、必ずCKCでも評価する必要があると考えています。私は数値として残しやすい「WBLT」を用いることが多いです。

 

Weight bearing lunge test (WBLT)

踵が床面から離れないように注意しながら足関節を最大に背屈させ、 膝が壁に接する肢位をとらせ、足尖から壁までの距離を計測します。 またはこのときの下腿傾斜角度を計測します。

私の場合は、下腿の傾斜角度を傾斜計を当て計測する方法を用いることが多いです。

 

  

また、足趾の影響を考慮し、通常の足関節背屈に加え、全足趾伸展、母趾伸展、25趾伸展にて足関節背屈を評価しています。FHLの緊張は足関節背屈を制限するため、どの足趾の影響が背屈制限に主に関与しているのかを評価しています。

 

 

 

WBLT(ランジ動作)を実施しながら、距骨内転やアーチの過度な低下が生じていないかも確認します。距骨内転やアーチの過度な低下は足関節背屈制限が生じている可能性が高いため、代償動作も見逃さないようにします。

 

  

逆に、

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