足部の触診 ~触れたら変わる臨床評価!~

 

 

足部には骨、靱帯、筋肉など多くの組織が存在しています。そのため、足部の触診は苦手な方が多いと思います。「小さくてわかりにくい」「腱や靭帯が沢山あって触りにくい」など、理由はそれぞれです。

 

 

 

しかし、正確な触診ができることは評価の精度の向上に繋がり、より効果的な介入にも繋がります。そこで、今回の記事では足部の骨の触診について記載し、触る意味を考えて行きたいと思います!

 

この記事の最後には「足部を触ってみよう」「思っていたより難しくなさそう」と思って頂けるように、解説していきたいと思います!

 

まずは、触診の方法を一通り解説した後、それぞれの骨の触診が必要になる意味を説明していきたいと思います!

 

 

1.最初に触診するのは舟状骨!!!

 

触診は舟状骨から始めます。理由としては、一番触診しやすく、全体のランドマークとなるためです。舟状骨結節は内側から観察すると他の骨よりも突出していることがわかります。そのため、内側から指を当てるとすぐに見つけることが出来ます。

 

触診のポイントとしては、内果の下端からおおよそ2横指前方に舟状骨が存在しています。指を滑らすように動かすことで舟状骨結節のボリュームを感じやすくなります。

 

 

舟状骨の内側はすぐに触診することが出来ますが、外側は少し触診が難しいです。ですが、ポイントを知っていれば、触診は行いやすいです。

 

ポイントは「舟状骨の外側縁はおおよそ第3列の延長線上に存在する」ということです。これを意識することで、舟状骨の外側を触診しやすくなります。

 

 

内側と外側を触知することが出来たら、距骨・楔状骨との関節面を触知していき、舟状骨の全体をトレースします。舟状骨の前面は伸筋腱が走行しているため、丁寧な触診が必要です。

 

  

2.楔状骨の触診

 

楔状骨の触診のポイントは第1列の延長線上に内側楔状骨、第2列の延長線上に中間楔状骨、第3列の延長線上に外側楔状骨が存在しています。

 

内側楔状骨は楔状骨の中でも一番大きく、男性では親指の指腹ほどの大きさがあります。触診のポイントとして、舟状骨粗面から遠位に指を進めると、指がはまり込む部分があります。そこが、舟状骨と楔状骨の境目です。また、足底面から指を押し込むように触ることで骨縁がわかりやすいです。

 

中間楔状骨は楔状骨の中で一番小さく、内側楔状骨と外側楔状骨の間にはまり込んでる状態です。内側楔状骨の触診を内側に進めると、指が「カクッ」と落ち込む部分があります。

 

外側楔状骨は細長い骨形態をしており、外側には足根洞や疎性結合組織が多く存在しており、触診が他の楔状骨より難しいです。そのため、第3列の延長線上にあることを意識し、丁寧な触診が必要になります。

 

 

 3.第五中足骨粗面の触診

 

第5中足骨粗面は足部外側の一番突出している部分になります。第5中足骨粗面を先に触診することで、立方骨の触診のランドマークになります。足部の外側1/2に手掌面を押し当てると、骨突出部を触知することが出来ます。

 

 

 

第5中足骨粗面の近位は疎性結合組織が豊富に存在しており、骨の感覚がなくなります。その部分が立方骨との境目になります。

  

 

 4.立方骨の触診

 

立方骨は第4・5中足骨と隣接しています。立方骨の内側は第4列の延長線上を目安に触診を進めますが、軟部組織のボリュームが大きいため、指を押し込んで、丁寧に触診する必要があります。

 

立方骨の外側の触診は第5中足骨粗面から近位に触診を進めます。この部分も軟部組織のボリュームが大きいため指を押し込んで触診する必要があります。

 

 

そのまま、近位に指を進めると踵立方関節の関節面で指が入り込む感覚があります。その感覚を捉えることが出来たら、背側に触診を進め、第4列の延長線上を目安に立方骨の全体像をトレースします。

 

 

5.載距突起の触診

 

おおよそ内果の1横指遠位に載距突起が存在しています。底側から指を押し込むように触診します。載距突起は字のごとく「載せる距骨の突起」です。ですので、載距突起よりも近位側にある骨は距骨になります。

 

 

 

6.-外果の触診

 

内果は前丘と後丘の間に凹みが存在しているのが特徴です。外果は前方に膨らんでおり、後方は直線状の形状を呈しています。この形状を意識して触診を進めましょう。

 

 

 

足関節を手掌面にて挟み込むことで、内-外果のボリュームを確認しやすいです。(1人で撮影したので、両側の手掌面で挟み込んだ方がわかりやすいです)

 

図13

 

 

  7.なぜ足根骨を触診する必要があるのか?

 

触診する理由はいろいろあると思います。今回の記事では、私が考えている「それぞれの足根骨を触診する理由」を書いていきます!

 

 

7-1.舟状骨を触診する理由

舟状骨には後脛骨筋が付着します。扁平足や内側縦アーチの低下に伴い、後脛骨筋の付着部に伸張ストレスが生じ、炎症・腫脹・疼痛が出現する可能性があります。圧痛を評価するため、舟状骨の触診が必要になります。

 

 

また、舟状骨は足部の評価に重要なランドマークとなります。FPI-6、navicular drop、ショパール関節の動きを評価する際、必ず触診する必要があります。

 

 

 7-2.楔状骨を触診する理由

楔状骨を触診する理由として、中足骨の底屈-背屈可動域の評価やリスフラン関節の動きを評価する際に、楔状骨の触診は重要になります。

 

底屈可動域が少ない場合、蹴り出しがスムーズに行うことが出来ません。背屈可動域が少ない場合、中足骨頭に圧力が集中しやすいため、疼痛が生じる可能性があります。かなり主観的な評価ですが、抵抗感や左右差、対象者の不安定感や疼痛などで評価しています。

 

 

7-3.第5中足骨粗面を触診する理由

5中足骨粗面は短腓骨筋が付着する部位です。短腓骨筋に炎症が生じているのか、骨に損傷があるのかを評価するために触診は必要です。

 

 

また、ジョーンズ骨折、下駄骨折などの治療経過を評価するため(殴打痛)に触診が重要になります。

 

 

 7-4.立方骨を触診する理由

長腓骨筋の走行が急激に変化する部位で、摩擦ストレスが生じ炎症や疼痛が出現する可能性があります。私はこの部位に炎症が生じている症例を何例か経験したことがあります。

 

 

また、立方骨には背側踵立方靭帯が付着しており、足関節内反捻挫に伴い損傷することがあります。圧痛を評価するためにも、触診は重要になります。

※豆知識
立方骨は外側縦アーチのキーストーンであり、長腓骨筋の作用により立方骨が回内(外返し)することで踵骨との固定性が増大します。長腓骨筋の第一列の底屈と立方骨の回内(外返し)は、歩行時の蹴り出しに重要です。この機能により、前方への推進力が増大します。(ハイギアプッシュオフとも呼ばれています)

  

 

7-5.-外果を触診する理由

内果には三角靭帯が付着し、外反捻挫により損傷することが多いです。「付着部の損傷であるのか?」「靭帯実質部の損傷であるのか?」を評価するために触診は重要です。

 

 

内果後面・三角靭帯の表層には後脛骨筋が走行しています。「骨に損傷があるのか?」「筋肉に損傷があるのか?」「どちらにも損傷があるのか?」を評価するために触診が重要になります!

 

外果には前距腓靭帯、踵腓靭帯が付着しています。足関節内反捻挫に伴い、前距腓靭帯、踵腓靭帯の損傷、外果骨折や剥離骨折が生じる可能性があるため、組織状態を把握するため触診は大切です。

 

 

また、腓骨後方は長・短腓骨筋が走行します。捻挫などの外傷により、腓骨筋の摩擦・伸張ストレスに伴う炎症、腫脹、腓骨筋支帯の損傷などが生じます。骨だけの問題なのか、筋肉にも問題が生じているのかを評価する際に触診が重要になります。

 

 

 

8.まとめ

 

足部の触診が出来るようになれば、骨・筋・靭帯の損傷を評価することが出来るようになります。足関節捻挫では、いろいろな組織の損傷が伴うため、見逃される可能性が高い「二分靭帯損傷」「外果の剥離骨折」なども評価できるかもしれません。(確定はできませんが💦)

 

少しでも、私なりの触診方法が参考になれば嬉しいです☆

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