凍結肩と下方関節包 ~可動域制限との密接な関係~

 

 

凍結肩は肩関節の疼痛(運動時痛・夜間痛)や運動制限を伴う疾患です。主に中高年(4060歳)に多く発症し、男性よりも女性に多く見られます。肩関節可動域では屈曲・外旋・結帯動作が制限されることが多いです。

 

 

 

また、別の報告では「凍結肩は激しい肩関節の疼痛、肩関節自動・他動運動の制限を特徴とする疾患であり、肩甲上腕関節のX線像は基本的に異常を示さない」と述べられています。

 

 

 

つまり、凍結肩はレントゲンではわからない因子があり、肩関節の可動域制限や疼痛などを引き起こしている状態です。そのレントゲンではわからない因子は多岐にわたります。一例をあげると...

 

 

 

今回はその中でも、「凍結肩と下方関節包の関係性」について考えていきたいと思います!

 

1.凍結肩を簡単におさらい

 

凍結肩の定義は”原因不明な一次性特発性拘縮肩で、肩関節屈曲100°以下、外旋10°以下、結帯動作L5以下とされています。

 

 

 

凍結肩の症状には疼痛や関節可動域制限、ADLQOLの低下が報告されています。一般的には予後は良好と考えられていますが、約50%(44か月)に愁訴が残存するとも報告されており、症状や持続期間は多様性に富みます。

 

 

単に「関節可動域制限」といっても、原因はいろいろあります!
・筋肉であれば:腱板筋群、大円筋、広背筋など
・靱帯であれば:関節上腕靱帯や烏口上腕靱帯など
・神経であれば:腋窩神経や肩甲上神経など
が挙げられます。

 

 

 

上のスライドでは、靱帯の中に関節包が含まれていますが「骨膜の連続したものが関節包で、関節包の肥厚した部分が靱帯」です。なので、「関節包=靱帯」といっても問題はないと考えています。

 

 

 

例えば、凍結肩で肥厚することが多い下方関節包は「下方関節包=下関節上腕靱帯(以下:IGHL)」と置き換えることができると思います。

 

 

 

ですが、IGHLは前後のIGHL腋窩陥凹と複合体を形成するため、厳密にいうとIGHLのみが下方関節包ではないです。なので、IGHLと腋窩陥凹を合わせて、凍結肩との関係性を考えていきたいと思います!

 

 

2.凍結肩とIGHLの関係性

 

凍結肩ではIGHLの肥厚が生じると報告されており、かなり重要な所見の1つです。エコーでIGHLの厚みを計測すると、対照群では1.3mmの厚みに対して、凍結肩で4mmの厚みであったと報告されています。

 

 

 

しかし、いくつかのエコーの報告を読んでいると、IGHLの厚みは報告によって異なります。なぜこのように報告によって異なるのかというと、計測方法や凍結肩の程度が異なるためと考えられます。

 

 

 

なので、凍結肩とIGHL(腋窩陥凹)の関係性を考える場合、「厚みは3.2㎜~4.0㎜程度であれば、凍結肩とIGHLの関係性がある」と考えることができるのではないかと思います。

 

しかし、ここで注意していただきたい点があります。

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