膝蓋下脂肪体由来の痛み ~動きから痛みを捉える~

 

 

膝関節には、膝蓋骨上脂肪体、後部脂肪体、膝蓋下脂肪体、大腿前脂肪体が存在します。その中で、膝蓋下脂肪体(以下:IFP)は大腿骨・脛骨・膝蓋骨の間に存在する脂肪体で、膝関節周辺で最も大きな脂肪体になります。

 

 

 

最近では、IFPは大腿骨・脛骨・膝蓋骨の間だけではなく、膝蓋骨の内外側や大腿四頭筋腱の深層にまで存在すると報告されています。この、IFPの膝蓋骨内外側への広がりは意味が存在すると考えられます。

 

 

 

IFPの広がりと、膝関節屈曲-伸展時の膝蓋骨の位置関係を見てみると、IFPが存在する位置は内外側の大腿骨顆に対応しており、膝関節屈曲-伸展に膝蓋骨が接触する部分になります。

 

 

つまり、IFPには膝関節の機械的負荷の分散や関節内の余分なスペースの充填以外に、膝蓋骨の固定や安定性、膝蓋大腿関節の摩擦の吸収や軟骨の保護といった役割が存在すると私は考えています。

 

さらに、IFPは膝関節屈曲-伸展時に滑らかに動く必要があります、膝関節の動きを作る意味でも重要な役割が存在します。今回の記事では、このIFPの動きと膝関節の痛みについて、深堀して考えて行きたいと思います!

 

1.IFPの形態と動き

 

IFPは表層と深層に分けて考えることが出来ます。組織学的研究では、表層の脂肪小葉は、深層の脂肪小葉よりも大きく、深部の脂肪小葉の隔壁の厚さは、表層の脂肪小葉よりも大きかったと報告されています。

 

 

 

このIFPの形態が膝関節の動きを考えるうえで大切になります。IFPは表層部の非常に大きな小葉で構成されており、屈曲時の表層のIFPの厚さの減少は20.6%と述べられています(深層のIFPの厚さの減少は1.3%)。つまり、IFPは表層の方が深層より可変性がある組織と考えることが出来ます。

 

 

 

つまり、よく変化することが出来る表層のIFPは柔軟性が重要と考えることが出来、深層のIFPは形や硬さある程度維持しながら、深層-表層への動きが必要になる組織であると考えることが出来ます。

 

 

 

エコーで膝関節屈曲-伸展時のIFPの動態を確認してみると、表層の脂肪体がより厚みの変化が大きく、深層の脂肪体は厚みの変化は少なく、ある程度形態を維持しながら、動いていることがわかります。

 

 

では、IFPの動きが制限されるとどのようなことが生じるのでしょうか?

 

2.IFPの動きが制限された際に出現する症状

会員専用となっています。会員の方は こちらからログインしてください。. 新規会員登録はこちらへお進みください。
おすすめの記事