臨床で肩関節疾患の肩関節屈曲、外転可動域制限はよく出会う問題の内の1つです。肩関節屈曲可動域制限と言っても、筋肉、滑液包、関節包など多くの組織が関与するため、ひとくくりに考えてしてしまうと危険です!
例えば
・屈曲90°までしか上がらないが、他動では最後まで屈曲できる
・他動でも自動でも屈曲、外転角度が変わらない
・「痛みがあり屈曲-外転できない」「痛みは無いけど屈曲-外転できない」
これは全部屈曲-外転制限ですが、原因はそれぞれ違います❗️
今回の記事では、上腕三頭筋と周辺組織の関係性から、肩関節屈曲-外転可動域制限について考えて行きたいと思います!
上腕三頭筋が肩関節屈曲や外転可動域制限に関与するといわれると少し疑問に思われるかもしれませんが、上腕三頭筋の詳しい解剖や機能、周辺組織との関連を考えると理解することが出来るので、是非最後までお読みください!
1.上腕三頭筋の解剖と機能
まずは上腕三頭筋の解剖について説明していきます。一般的に、上腕三頭筋は関節下結節から起始し、肘頭に停止し、作用は肘関節伸展、肩関節伸展が挙げられます。
一般的な上腕三頭筋の解剖はこの程度の記載にとどまりますが、肩関節の屈曲可動域制限について考えるには、もう少し上腕三頭筋の解剖と周辺構造について知る必要があります。
上腕三頭筋は関節下結節だけではなく、さらに頭側に伸びており、腋窩陥凹や関節唇にも付着すると述べられています。
腋窩陥凹は肩関節挙上時、上腕骨頭が下方に移動する動きを下方からハンモックの様に支持する働きがあり、肩関節の適合性や関節の可動域を維持していると考えられています。
また、付着部の形態を詳しく見ていくと、肩甲骨への付着部は背側・腹側に分かれており、「Vの字」を呈し、付着部には線維軟骨(fibrocartilage)が存在していると述べられています。私は腋窩陥凹だけでなく、下関節上腕靱帯(下方関節包)とも密接な関係があると考えています。
線維軟骨構造には多くの機能があり、上腕三頭筋の付着部で考えるのであれば、関節適合性向上、ストレスの緩衝、可動性の維持といった役割が存在すると考えられます。
正常であれば、上腕三頭筋は肩関節の安定性を高め、可動域制限に関与することは無いのですが、スポーツ活動や疾患に伴う上腕三頭筋の伸張性低下が生じると、肩関節屈曲関節可動域制限に関与する可能性があります。
2.上腕三頭筋に問題が生じる原因
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