Kager’s fat padの臨床評価と介入 ~隣接する組織と動きを捉える~

 

 

Kager's Fat Pad(以下:KFP)は足関節後面に存在する、足部で一番大きい脂肪体です。KFPは多くの機能を有しており、アキレス腱や足関節の運動にも関与しています。

  

今回の記事ではKFP”基礎的な解剖から動態(エコー)、足関節の運動やアキレス腱炎との関係性、介入方法”について、文献を提示しながら、まとめていきたいと思います!

 

1.Kager's Fat Padの基礎的な解剖学

 

KFP"アキレス腱の前面、長母趾屈筋(FHL)、踵骨上縁から構成される三角形"のスペースに存在しています。そのため、アキレス腱や長母趾屈筋とは密接な関係性があります。

 

 

 

KFPFHLやアキレス腱に付着しています。アキレス腱の約90%において、Kager's fat padが付着しており、残りの10%(アキレス腱踵骨付着部)は付着はしておらず、Retrocalcaneal bursaへの通路を形成しています。

 

 

 

KFPの解剖において、最近興味深い報告もなされています!結論から記載すると「Kager's fat padは組織間の張力の調整・伝達を行っている」と報告されています。

 

KFPFHLやアキレス腱だけでなく...
・上腓骨筋支帯
・後距踵靭帯
・屈筋支帯
・前距腓靭帯
・アキレス腱のパラテノン
などと連続し、張力の伝達を行っている報告されています。

 

 

つまり、KFPの機能不全は、別の組織の機能不全を引き起こす可能性があると考えることができます。

 

また、KFPは3つのパートに分かれており、アキレス腱パート、長母趾屈筋パート、ウエッジパートに分類されます。それぞれのパートの動きは異なっており、作用も異なると考えられています。

 

 

 

これらの解剖学的情報から、KFPの機能について考え、介入方法も検討していきたいと思います。

 

 

 

2.Kager's Fat Padの機能

 

KFPの主な機能として以下の3つが挙げられます。
①血管の保護
②運動における摩擦・圧力の軽減
③足関節の運動に伴う形の変化

 

2-1.血管の保護

アキレス腱周囲には多くの血管があり、KFPはその血管を保護する役割があると考えられています。特に、アキレスパートがアキレス腱に入る血管を保護する役割を担っています。

 

 

 

パラテノンとKager's fat pad(アキレス腱パート)を介して、アキレス腱に血管が入り込みます。KFPは血管を保護および安定させ、血管の動きの影響を最小限に抑えると考えられています。

 

もし、外傷や長母趾屈筋炎などにより、KFPの浮腫や線維化が生じると、アキレス腱への血流も減少する可能性があります。血流はアキレス腱の栄養や損傷の修復に重要な役割があります。

 

 

 

例として、アキレス腱炎のエコー画像を確認してみましょう。エコー画像ではアキレス腱の肥厚、腫脹(低エコー部)が認められ、Kager’s fat padに血流所見も認められます。

 

 

 

このような所見が認められた場合、アキレス腱周囲の血流動態の変化やKager’s fat pad自体の動きも制限される可能性があることを考え、評価や介入を行う必要があると考えています。

 

 

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