外側上顆炎で、まず最初に思い浮かべる原因となる組織は「短橈側手根伸筋」と「総指伸筋」になると思います。しかし、今回は外側上顆炎であまり着目されていない組織について考えていきたいと思います。
今回、考えていく組織は「関節包(靱帯)」「回外筋」「肘筋」の3つになります。この3つの組織は連続しあっており、私は外側上顆炎を考えるうえで重要な組織と考えています。この3つの組織の解剖を知ることで、新たな視点が増え、外側上顆炎に対する介入方法が広がると思います。
1.肘関節関節包の解剖
肘関節包は前方・後方共に3つのバンドから構成されています。中でも、外側上顆炎の病態に関与する関節包は後外側関節包と私は考えています。後ほど記載しますが、後外側関節包は回外筋や短橈側手根伸筋と連続していると考えられ、ストレスが生じやすい可能性があります。
肘関節屈曲時に後方関節包は23%伸張されると報告されています。つまり、後外側関節包は肘関節の安定性にかかわる一方で、運動時には伸張される柔軟性が重要であり、相反する作用が必要ということになります。後外側関節包の柔軟性が低下すると、運動時に伸張ストレスが増大するため、外側上顆炎の発生に関与する可能性があります。
2.肘関節の靱帯の解剖
続いては肘関節外側の靱帯について考えていきます。靱帯といっても関節包の肥厚した部分に「〇〇靱帯」という名称がついているので、靱帯=関節包と考えてもよいと思います(例外もあります)。
肘関節外側の主な靱帯は橈骨側副靱帯(RCL)、輪状靱帯(AN)、外側尺骨側副靱帯(LUCL)の3つです。3つの靱帯は肘関節外側や近位橈尺関節の安定性に寄与しています。
これら3つの靱帯は筋肉と連続しており、筋肉の影響が靱帯(関節包)に与える影響も考える必要があると思います。特にすべての靱帯と連続するとされている回外筋の影響は必ず考える必要があると思います。
ここまでをまとめると
・肘関節包は関節の安定性に寄与する一方、運動に伴う伸張性も必要
・肘関節の靱帯は筋肉と連続し、回外筋が全ての靱帯と連続する
関節包≒靱帯と考え、そのすべてに連続している回外筋の機能は非常に重要と私は考えています。
3.回外筋の解剖