Painful arcが認められたら ~症例から学ぶ評価と介入のポイント~ 

 

 

肩関節周囲炎の方で、「肩は挙がるけど、挙げる途中が痛い」と訴える患者さんは臨床で多く経験します。この現象はpainful arcとも呼ばれていますが、今回の記事ではpainful arcの原因を考え、評価・介入方法を検討していきたいと思います!

 

1.Painful arcとは?

 

Painful arcは肩峰下インピンジメントを評価する方法と考えられています。肩関節を外転させ、60°~120°の間で、疼痛が出現すると陽性と判断する、評価方法です。私は肩関節外転だけでなく、肩関節屈曲時にも適応できると考えています。

 

 

挙上初期に疼痛が無いこと、挙上角度が120°を超えると疼痛が減少、消失することもPainful arcの臨床的な特徴です。また、Painful arcが存在しても他動的な肩関節可動域制限が存在することは少なく、疼痛が出現することも少ないことも特徴的です。

 

 

Painful arcが出現する原因として「腱板筋群の機能不全」と「肩甲骨の安定性低下」の2つが考えられています。腱板筋群の損傷や機能低下は肩関節の安定性や筋出力に影響を与え、三角筋の過剰な収縮を引き起こし、肩峰下でのストレスが増大し、疼痛に関与する可能性があります。

 

また、肩甲骨の不安定性が生じると腱板筋群の収縮効率が低下し、肩関節の不安定性が生じるため、三角筋の過剰な収縮が生じ、肩峰下でのストレスが増大する可能性があります。

 

 

この様に腱板筋群の機能不全、肩甲骨の不安定性が生じることで、肩峰下でのメカニカルストレスが増大し、Painful arcが出現すると考えられます。

 

Painful arcという現象と原因がわかったら、「腱板筋群の機能不全、肩甲骨の不安定性」のどちら(両方の場合もある)に問題があるのかを評価する必要があります。

 

 

 

では、どのように評価していけばよいのでしょうか?

 

2.Painful arcの原因を評価

 

まずは”他動的に肩関節挙上できるかどうか?”を評価します。

次に”座位と背臥位の自動肩関節挙上可動域に変化が生じるか?”を評価します。他動的に肩関節挙上が可能で、背臥位にて自動肩関節挙上可動域が拡大した場合、Painful arcによる問題と判断し、次のステップに移ります。

 

次に私は肩甲胸郭関節の機能評価し、問題がなければ肩甲上腕関節の評価を進めるようにしています。理由は肩甲胸郭関節が肩関節の運動の土台であることと肩甲上腕関節の評価項目が多いためです。20分の臨床では、評価項目が多い、肩甲上腕関節を最初から評価するのは効率が悪いと考えています。

 

 

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