肩関節包の支配神経 ~評価-介入への応用~

 

 

支配神経というと筋肉を思い浮かべる方も多いと思いますが、関節包も部位によって支配神経が異なります。特に、肩関節包は支配する神経が多く、それぞれの支配領域を知ることは評価-介入に繋がります。

 

今回の記事では、肩関節包の支配神経を理解し、臨床にどのように応用していけるのかを考えていきたいと思います!

 

1.肩関節包の支配神経

 

肩関節包を支配している神経は
・肩甲上神経
・外側胸筋神経
・肩甲下神経
・腋窩神経

の4つあると考えられています。それぞれの神経の解剖や走行、支配組織について記載していきます!

 

 

2.肩甲上神経の解剖

 

肩甲上神経(以下:SSN)は腕神経叢(C5-C6)の上部から発生します。SSNは運動線維と感覚線維の両方から構成されており、感覚線維は肩関節の70%の感覚に寄与すると報告されています。

 

 

 

SSN関節包の上方~後方を支配します。関節包以外の支配組織としては、棘上・棘下筋、肩鎖関節、烏口鎖骨靱帯、烏口上腕靱帯、肩峰下滑液包などがあります。肩甲上神経は幅広く肩関節周囲組織を支配しています。

 

 

 

解剖を詳しく見ると、肩甲切痕の周囲でSSNは分岐し、棘上筋の運動枝、肩鎖関節・肩峰下滑液包の感覚枝を分枝します。

 

 

 

さらに遠位では、棘下切痕を通過した後、SSNは棘下筋への運動枝、肩関節後方関節包への感覚枝を分枝します。棘下切痕の周囲には組成結合組織が存在しており、柔軟な動きが必要な部位と考えられます。

 

 

 

このように、SSNは肩関節の多くの組織を支配し、肩関節の疼痛や可動域制限に関与する可能性があります。私はSSN障害を臨床上、多く経験するため、肩関節疾患ではSSNを必ず評価するようにしています。

 

 

2-1.肩甲上神経の評価

肩甲上神経の障害を検出する確立された評価方法はありません。私は臨床では、問診(疼痛部位)、神経伸張テスト、エコーを使用して評価を実施しています。

 

肩甲上神経伸張テストは肩を下制させ、頸部を反対側に回旋させます。その際に、肩関節後面に疼痛が出現したら陽性と判断します。

 

 

 

エコー評価は棘下切痕の周囲で、内外旋に伴い疎性結合組織が動いている様子を確認します。明確な評価基準はないため、左右差を確認するか、正常動態と比較しています。

 

 

 

疎性結合組織の動きが制限されると神経の動きも制限され、運動時痛や可動域制限を引き起こす可能性があります。

 

2-2.肩甲上神経への介入

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