肩関節の滑液包 ~それぞれの滑液包の特徴と役割を知る~

 

 

滑液包は全身の至る所に分布しています。滑液包の機能は「構造物に対するストレスの軽減」や「関節の動きを引き出す」ことが主な役割となります。

 

  

特に肩関節は可動性が大きく、周辺組織も多く存在しているため、ストレスを軽減させるため、肩峰下滑液包、烏口下滑液包、三角筋下滑液包、肩甲下滑液包などの滑液包が多く存在しています!

 

 

これらの滑液包は肩関節の運動に重要なのですが、滑液包に過剰なストレス(摩擦や圧縮)が加わると、腫脹や炎症などの問題が生じ、肩の疼痛や機能不全に関与してしまいます。

 

 

そのため、肩関節の痛みや機能障害を考える上では滑液包の影響を考える必要があります。今回の記事では、肩関節の滑液包である肩峰下滑液包、烏口下滑液包、三角筋下滑液包、肩甲下滑液包に着目して、記事を記載していきます。

 

1.肩峰下滑液包(SAB)の解剖

 

SABは肩関節最大の滑液包です。内側から外側に平均55.6 mm (範囲4268 mm)、前方から後方に55.7 mm (範囲4168 mm)と報告されており、上腕骨頭の湾曲に沿って覆うような円形状を有する滑液包になります。

 

 

SABは一般的に三角筋と棘上筋の間に存在していると考えられていますが、上方からSABを観察すると前方は烏口上腕靱帯、後方は棘下筋、内側は肩鎖関節、外側は大結節と隣接しています。また、肩甲下筋腱や上腕二頭筋長頭腱も覆うように存在しています。

 

 

また、SABには個体差も存在しており
・肩鎖関節を越える
・肩峰の後角を越える
・烏口鎖骨靭帯に付着
・SDB、SCBと連続
などの解剖学的な違いが存在しています。(黄色が平均的な大きさ、紫色が個体差の最大値)

 

 

この様にSABは多くの組織と隣接しており、さまざまな組織間の影響を考える必要があります。例えば、肩峰の後角を超える場合は小円筋との関係性SCBと連続する場合は烏口腕筋や上腕二頭筋短頭の関係性も重要になるのではないかと考えながら、アプローチしています!

 

また、SABは3つの支配神経が存在しているため、滑液包の問題による痛みなのか?神経障害による関連痛なのか?を考える上でも大切な解剖学的な情報になります。

 

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