肩関節疾患を患っている81~94%の患者は夜間痛や患側を下にして眠ることが出来ない、または睡眠の質が低下していることに悩んでいると述べられています。
肩関節疾患の中でも、特に凍結肩や癒着性関節包炎は睡眠の質が悪いと述べられています。私の臨床経験においても、凍結肩の患者さんで「よく眠れています」と返答される方はごく少数で、殆どいらっしゃいません。
また、肩関節の痛みが継続することが夜間痛や睡眠の質に影響を与える可能性も示唆されています。
この様に肩関節の病態や痛みが夜間痛や睡眠の質に関与してくると考えられますが、一体なぜ?夜間痛が生じるのでしょうか?
今回の記事では、文献と私の臨床経験から夜間痛の原因を考え、それぞれの原因によって生じる夜間痛に対して、どのように対応しているのかを記載していきたいと思います。
1.夜間痛とは
腱板断裂・拘縮肩・石灰沈着性腱板炎など肩関節疾患の代表的な症状の1つで、背臥位だけでなく、寝返りや患側肩を下方にした側臥位になると、痛みで目が覚めてしまう症状のこと言います。
夜間痛は様々な原因が報告されているが一定の見解が得られていないのが現状です。臨床経験上、夜間痛は1つの原因で生じているわけではなく、複雑に要因が交わって夜間痛が生じている場合が多いです。
そのため、夜間痛が生じている原因は何かをしっかりと評価し、介入していく必要があります。また、夜間痛は原因ごとに3パターンに分類できると私は考えています。
この分類パターンを考えることで、夜間痛に対する介入方法が明確になってくるため、「なぜ?夜間痛が生じているのか?」を常に考えて、介入する必要があります。
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2.炎症が中心の夜間痛
私が考える”炎症が中心の夜間痛”は…
肩関節屈曲可動域はある程度保たれているが、最終可動域で痛みがあり、インピンジメント徴候や安静時のジワジワとした疼痛が存在する。仰向けでは寝れないため、座って寝ているといった訴えがある様なパターンです。
私は炎症に伴う夜間痛は腱板損傷や肩峰下インピンジメントに伴う、肩峰下滑液包炎や腱板炎、上腕二頭筋長頭腱炎が影響しているのではないかと考えています。また、仰向けで寝れない、頻回に目が覚める重度な場合は関節包の滑膜まで炎症が生じていると考えています。
炎症が中心の夜間痛のメカニズムの一例を考えるとすると
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