これを知れば肩関節への介入が変わる! ~棘上筋の解剖学、評価、治療~

 

 

肩関節の介入は難しくないですか?

 

 

私は難しい関節のうちの一つだと思っています。では、「なぜ?」難しいのか考えてみたことがあるのですが...。私は肩関節に存在する組織が多いから難しいのではないかと考えています!

 

ざっと模型で見てもこれぐらいの組織があります!

 

 

 

 さらに、関節・筋肉・靱帯などの組織を分類してみると

関節:胸鎖関節、肩鎖関節、肩甲上腕関節、A-C Joint、肩甲胸郭関節、椎間関節、肋椎関節

筋肉: 腱板筋群(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)、大円筋、大胸筋・小胸筋、烏口腕筋、広背筋、上腕二頭筋長頭・短頭

靭帯: 烏口上腕靭帯、烏口肩峰靭帯、烏口鎖骨靭帯、関節上・中・下腕靭帯、肩鎖靭帯、胸鎖靭帯

  

 

そして、滑液包や神経、血管などの組織を考えると、もう何が何だか分からなくなります...なので、私は考える組織を一つずつ絞って考えるようにしていることが多いです。

 

今回は「これを知れば肩関節への介入が変わる!~棘上筋の解剖・評価・治療編~」ということで、棘上筋について記載していきます!

この記事を読んで得られることは...

・棘上筋の解剖がわかる

・棘上筋の評価が出来る

・肩関節治療のヒントが増える!

  

 

1.棘上筋は腱板で一番損傷が多い部位

 

 腱板断裂の中でも、棘上筋の損傷は一番多い損傷です。外傷に伴う腱板損傷の報告では、形態学的分布を見ると、棘上筋が最も多く(84%)、次いで肩甲下筋(78%)、棘下筋(39%)が続きます。

 

 

 

腱板筋群の中でも、棘上筋は退行変性や肩峰下インピンジメントにより損傷が生じやすいと考えられています。棘上筋損傷がある方の肩峰下のエコーを描出すると、肩峰と上腕骨の距離が狭小化していることがわかります。

 

 

 

また、棘上筋が損傷しやすい理由はメカニカルな点だけでなく、解剖学的な点も関与しています。例えば、棘上筋後部線維は筋断面積と比較し、腱断面積が小さくなっています。この解剖学的な観点から、棘上筋後部線維の腱は損傷しやすい形態と考えられます。

 

 

 

では、棘上筋が損傷するとどのようなことが生じるのでしょうか?解剖学的な観点から少し考えていきましょう!

 

 

 

2.棘上筋の解剖学

 

 棘上筋は棘上窩から起始し、大結節に付着します。作用としては肩関節外転や骨頭を求心位に保持する役割があります。

 

 

 

最近では、棘上筋は大結節だけでなく、小結節にも付着することもあります!Mochizukiらは、大結節の最も前方の領域に停止し、標本の21%で小結節の最も上方の領域にも停止したと報告しています。

 

 

 

また、前部・後部線維に分けることが来ます。前部線維は肩関節外転+内旋、後部線維は肩関節外転+外旋の機能を有してます。

 

 

 

棘上筋が損傷すると肩関節外転+内旋、肩関節外転+外旋の筋力低下が生じる可能性があります。特に棘上筋は屈曲30°~60°にかけて筋活動がピークとなり、この角度での筋力低下があるかもしれません。

 

 さらに、

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