肩関節は人体の中で最大の可動域を有する関節になります。可動域が最大である一方、骨構造による関節の安定性はほとんどありません。そのため、肩の機能的安定性は関節包や靱帯、関節唇などの静的安定化組織と、周囲の筋肉(特に回旋腱板)の動的安定化組織によって達成されます。
中でも、回旋筋腱板は上肢の運動中に上腕骨頭を関節窩に圧縮することで安定性を維持しています。したがって、回旋筋腱板は正常な肩関節の運動と機能を維持するうえで重要な役割を果たしています。
逆に考えると、回旋筋腱板の機能低下が生じると肩関節の安定性が低下し、可動域制限や疼痛が生じる可能性があります。また、可動域制限や疼痛だけではなく、日常生活にも支障が生じることが多いです。
そこで、今回の記事では回旋筋腱板の中でも「小円筋」に着目して、記事を書き進めていきたいと思います!小円筋の機能低下は肩関節の安定性や可動域制限に直結するため、是非、最後までお読みください!
1.小円筋の機能解剖
小円筋は肩甲骨外側縁から上腕骨大結節に付着する筋肉です。小円筋は独立した上下の2つの線維から構成されており、上部線維は筋内腱が厚く、下部線維は断面積は大きいと述べられています。
小円筋の走行から機能を考えると、肩関節関節窩の後方かつ下方に位置しているため、肩関節外旋かつ伸展or内転に寄与しています。小円筋は肩関節外転位の際に主要な外旋筋となり、外転60°~90°で外旋の最大筋活動を示すと報告されています。
実際、小円筋の内転作用は肩関節屈曲角度によって異なっており、肩関節外転45°を越えると、外転モーメントアームを持つため、外転作用になると考えられます。
また、小円筋は肩関節外旋、内転作用だけでなく、上腕骨頭を関節窩に安定化させる役割とdepresserとしての役割があると述べられています。特に小円筋の下部線維が上腕骨頭を関節窩に安定化させる役割とdepresserとして機能していると考えられています。
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