ラセーグテスト使用方法の多様性 ~痺れ・痛み・硬さの解釈~

 

 

腰痛は一般的な筋骨格系疾患であり、私の勤めているクリニックでも、3割程度は腰痛で来院される方が占めています。また、腰痛に併存する症状として、下肢への関連痛(患者の約60%とも述べられています)があります。

 

 

下肢への関連痛は坐骨神経の走行に沿って出現することが多いため、坐骨神経痛と呼ばれることが多いです。坐骨神経は4番目と5番目の腰神経根と最初の2つの仙骨神経根が結合して腓骨神経と脛骨神経を形成し、坐骨神経として骨盤から出て、遠位まで走行します。

 

 

この坐骨神経を構成・走行する神経線維がどこかで障害されると坐骨神経痛が生じます。坐骨神経痛の原因は数多く考えられますが、一般的に考えられている原因として多いのが、腰椎椎間板ヘルニアになります。

 

 

腰椎椎間板ヘルニアでは、椎間板が逸脱・膨隆することにより、坐骨神経を形成する神経根を圧迫し、神経の緊張を高め、痛みを引き出すと考えられています。

 

 

 

腰椎椎間板ヘルニアに伴う、坐骨神経痛を有する方を評価するには、レントゲンやCTMRIなどの画像評価の他に、身体所見が大切になります。今回の記事では、身体所見の評価の際によく用いられる「ラセーグテスト」について、詳細に考えていきたいと思います。

 

 

 

1.ラセーグテストとは?

 

ラセーグテストは腰椎椎間板ヘルニアによる、坐骨神経痛を有する方に最も一般的に実施される身体評価になります。評価方法として患者さんは仰臥位となり、検者は患者の踵を持って膝関節伸展位を保ったまま徐々に下肢を挙上していきます。床面から下肢がどの程度まで上がるのかを記録し、70°以上挙上できれば正常と判断します。

 

 

ラセーグテストは感度は高いですが、特異度は低いことが報告されています。また、検査陽性を判断する基準が文献によって異なっているところも問題点です。臨床で使用する際は、方法と評価基準が一定であれば問題は無いと思います。 

 

では、「なぜ?70°以上挙上できれば正常と判断するのでしょうか?」
それは、ラセーグテストを実施した際、坐骨神経にどのような動きが生じるのかを考えると70°という角度に繋がります!

 

死体を用いた研究では、ラセーグテストの股関節屈曲のフェーズを①~③に分けて考えており、それぞれの股関節屈曲角度によって、解釈が異なると述べられています。

 

詳しく見ていくと
①大坐骨切痕の神経の動き(約10°)

↓(坐骨神経の遊びがなくなる角度)

②仙骨翼での神経の動き(約30°)

↓(主に神経根が伸張される角度)

③椎間孔での神経の動き(約70°)
が生じると述べられています。そのため、坐骨神経の緊張が高まるフェーズは②~③の間と考えることができます。

 

 

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