最近では、整形外科領域でもエコーが用いられることが多くなり、セラピストがエコーを用いながら、介入する機会も多くなってきました。
私はエコーがセラピストが使用できる機器の中で”最強の評価・介入ツール”だと考えています。それは、持ち運びができ、リアルタイムで組織の状態を確認でき、身体への影響が少ないからです。
今回の記事では、エコーを用いることで「何が出来る?」、また「何が出来ない?」という点を考え、どうしてセラピストがエコーを使うべきなのかを記載していきたいと思います!
1.エコーの役割「視覚化」
エコーの重要な役割として、1つ目に「視覚化」が挙げられると思います。言い換えると「見える」ということです。
エコーを用いることで、筋肉や神経、血管、骨を見ることが出来、正確な触診に繋がります。例として、肩~頚部のエコー画像を提示します。
エコーを用いることで、皮下組織や筋肉の層、神経、骨の位置を把握することが出来ます。そして、その画像を見ることで正確な触診ができ、どの筋肉を触知しているのかをリアルタイムで知ることが出来ます。
「エコーを使わなくても正確に触診できる」という方もいらっしゃるかもしれません、実はセラピストの触診の精度は良いとは言えません。
エコーを使用することがより正確な触診が出来ます。正確な触診が出来れば、疼痛部位の把握、評価-介入もより効果的なものに繋がると思います。エコーが使用できるのであれば、絶対に使用しましょう!
2.エコーの役割「組織状態の把握」
筋肉の触診や神経・血管の位置関係を把握する以外に、エコーを用いることで、リアルタイムで組織状態を把握することが出来ます。「骨折」や「炎症や損傷」など、介入する上で重要な情報を得ることが出来ます。
エコーで骨を映すとビームが跳ね返ってくるため、骨表面の輪郭をしっかりと描出することが出来ます。しかし、骨折の疑いがあると骨表面に不整像や不連続性が認められます。
骨折が疑われる場合、セラピストが患部に積極的に介入するべきではありません。セラピストができる事は治癒の遷延を生じさせないように、適切な荷重刺激を加えることや他部位への介入になると思います。
エコーは骨折の評価においてもレントゲンと同様の正確性を持つと考えられています。また、被爆もなく、すぐに使えるため、骨折の評価は”エコーfirst”と考えられています。
骨について記載しましたが「炎症・損傷」においても同じように考えるべきでだと思います。下記のエコー画像は「肩甲下筋損傷と上腕二頭筋長頭腱炎」の診断名がついた方のエコー画像になります。
組織の炎症が強く、安静時痛や動作時痛が強い時、セラピストは組織修復を遷延化させないような介入が重要になります。急性炎症であれば、組織状態が落ち着いてからでも介入は遅くないと私は考えています。
また、エコーで組織の炎症を確認できれば、ドクターに注射も依頼できますし、安静度についても患者にアドバイスることが出来るので、介入の質や信頼関係の構築にもつながると思います!
最後は「動き」について説明していきます!肩甲下筋を例に挙げます。肩甲下筋は肩関節内外旋時の動きに表層-深層へ動く動態となります。動きが制限されている場合、癒着や損傷が生じている可能性を考えます。
動きが制限されているは、エコーを使用しながら組織に直接徒手介入もできます。リアルタイムで組織の動きを確認できるのはエコーだけであり、セラピストがエコーを使うべき最大の理由の1つだと思います!