皆さんにまず問題です。
足部に骨はいくつありますか?
足部に関節はいくつありますか?
足部に靱帯はいくつありますか?
足部に筋肉はいくつありますか?
すべて知っている方はすごいです!この記事は読まなくてもよいくらいの足部マスターだと思います!足部には骨が26、関節は33、靱帯は107、筋肉が19存在しています。
これらの組織すべてが協調して働き、人の体を支えています。レオナルド・ダ・ヴィンチは「足は人間工学上、最大の傑作であり、そしてまた最高の芸術作品である」と述べたといわれるほど、足部は機能的であり、美しく動く必要があるのだと思います。
そのため、足部を構成する組織が1つでも障害されてしまうと、足部の動きが障害されてしまいます。特に、背屈可動域制限が生じると歩行障害や足部の変形、スポーツ外傷などに繋がってしまいます。
もちろん、機能面だけでなく日常生活にも影響が出現します。階段昇降では、つま先が引っ掛かり転倒する。立ち上がりでは、体重移動が前方にスムーズに行えずに後方に転倒するなど…
そこで、今回の記事では「人間工学上、最大の傑作であり、そしてまた最高の芸術作品である」と言われる「足関節背屈運動の基礎」を考え、足関節背屈運動の正常と異常がわかることを目標にしたいと思います!
今回の記事の中で出てくる、足部の運動の名称はこちらです。2022年に定義が変わっているため、統一させていただきます。内-外反は足部の病的な状態で用いるため、正常運動では用いません。
1.足関節背屈の運動学(OKC)
足関節背屈の運動学へ行く前に、足関節の形態について復習していきましょう!足関節は脛骨、腓骨、距骨の3つの骨から構成されています。脛骨と腓骨が天蓋を作り、距骨がはまり込むような形となっています。
距骨の形状は前面が幅広く、後面の幅が狭くなっているため、足関節背屈時に骨がしっかりとはまり込み、足関節は安定します。はまり込むと聞くと単純な蝶番関節というイメージを持つかもしれませんが、内外側の周径が異なるため、一方向しか動かない関節ではなく、微細な副運動も伴います。
また、距骨の内外側の周径が異なるだけでなく、内-外果の高さや前後の位置が均等ではないため、距腿関節の運動軸は斜めに走行しています。水平面では8°、前顔面では20~30°傾斜しています。この運動軸は足関節が運動する際は常に動いています。
つまり、運動軸は一定ではないということです。そのため、足関節の形態や動きに合わせた軸を考える必要があります。もし、足関節の形態や軸を無視した運動を行うと、足部に問題が無いにも関わらず関節可動域が制限されている様に見えることがあります。
足関節背屈には足関節外返しが伴い、足関節底屈には内返しが伴います。また、距腿関節の運動軸には個人差があるため、距骨の外転が強く出現するパターン、逆にあまり出現しないパターンもあります。
「距骨の動きが少ないから動きを引き出そう」「動きすぎているから動きを止めよう」と考えるのではなく、その人にとって動きやすく、安定した運動を引き出すことが重要になります。
さらに、もう1つ大切なことがあります。
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